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『光まで5分』『愛じゃないならこれは何』

光まで5分』桜木紫乃

沖縄を舞台とした物語。
からだを売って生活している女の子。その場所は竜宮城とかいう名前で、そう、時間を超越したようなひとときの幸せをあたえる場所。
ときどき浦島太郎のようなひとがあらわれて、女の子を連れだそうとします。

雰囲気が良い。読んでいてすごく浸れる雰囲気で、とくに、人間と天使のあいのこ、ほとんど天使なんじゃないかって感じに描かれている男の子がいるんだけど(たしかハーフとかかな)、その子の様子とかがすごくよかった。
その子は入れ墨をいれる男性に惚れ込んでいて、背中にモナリザの入れ墨をいれてもらおう、とか。
入れ墨をいれる男性はじつは本州のどこかで腕のいい医者(歯医者だったかな)だったんだけど女性問題でわるい女性にあたってしまって恨まれて勘当みたいになって、(家が医者の家だから悪評があるとむりみたいなネットワークゆえに縁を切るしかない、というか死んだことにされている)沖縄に来て入れ墨だかマッサージだか歯医者だか、みたいなことをひっそりやっている。かくまってくれる人がいるので。

いわゆる沖縄のおばぁみたいな人もでてくる

いい人ばかりではない、けっこうな悪人のような人もでてくるんだけどなんだか憎めない
たぶん人間だれしも、欲に忠実になったら多分こうなるんだろうな、って感じがするから。

なにより主人公の女の子がとても放浪気質というか、ふわふわ流れていく感じで
あんたはまだ流されるね、まぁしばらく流れていきな、みたいなことをおばぁに言われるんだけど

そういうのに癒された
あぁ流されててもいいんだとか

なんだろう
またいつか沖縄に行きたいな
離島がいいけど。
宮古島と伊良部島と。
そのへんは前に行った、
宮古島のバーのおじさんが、ちゃんといいお酒飲むようにね、と私たち(女子二人)にいってくれたのを覚えている笑
えーと、若者というのは安い酒をたくさん飲むような飲み会があるだろうけど、お酒っていうのはいいお酒はおいしいからそういうのを楽しむ大人になりなね、みたいなニュアンス?笑
まだ元気かな、

バーに入ったのは、台風が来てどこかの食べ物屋さんにいくしかなかったからです笑

またいきたいな、沖縄

***

とても面白い。
すごい。
リアル。

漫画原作?とかも担当している人みたいで、令和の新進気鋭作家!って感じだけど本当にそう。

自分を演出する、というのが現代では流行っていると思う
ブログもそうですけど笑
そういう自己演出が少しテーマになっているようにも感じた

そういう、演出された自分と、それを好きと言ってくれる人との間に愛があるのかないのか、とか
こう、すっごく好きでファンだけど付き合いたいわけじゃない、という好きと、付き合いたい好きにどういう違いがあるんだろうとか
こういうふうに演出されたあなたが好き、だけどそうじゃない部分は見たくないのか
好きだと錯覚してしまうと、その人が求める自分を自ら演出してつくりあげていってしまう感覚とか

男二人と女一人で仲良くしていたときにどういう三角関係が起こるか、とか
「ずっと仲良く」はいつまで可能なんだろうか、とか

好きな相手のことは知りたいし、趣味も多少は履修して、話ができるようにするというのはある程度よくあることのような気がするけれど、
どちらかの趣味にばっかり片方があわせてがんばって話すともう片方はただ単に趣味に没頭するだけで好きじゃないってなってしまうから何なんだろうな、難しいなって思う

趣味を無理にあわせる必要はないんだけど
好きだとあわせたいという気持ちもわからなくはない
ただ、わざとあわせている場合にうまくいくことは少ないような気はするけれど
あわせてくれること、あわせることを愛だとも感じる

まぁどれも程度とか具体例によってまちまちで一般論を語るから何も語れなくなっちゃうんだろうけど

恋をして自分の趣味がおろそかになってゆくのとか
好きかわからなくて自分の趣味に没頭してゆくのとか
色々全部すごくリアルに切り取っていて、かつ、短編集ってわたし全然読まないしあんまり好きじゃないんだけど、短編全部が面白かったです。

すごいなって思いました。








# by 39-unepomme | 2022-02-18 07:55 | 素敵な本や歌♪ | Comments(0)

『ヘーゲル哲学に学ぶ 考え抜く力』

そろそろ手が痛くなってくるからこのくらいまでにしとこう笑


アウフヘーベン!と歴史哲学で有名なヘーゲルの世界観をしっくり体得させてくれる新書

わたしはもともとドイツ系が好きで
まぁゲーテが一番の師だと思ってるわけですが

ゲーテというひとは、詩はもちろん、自然科学的な分野にも関心を持って著作を書いたりしているんです
その自然科学のものは、現代の科学からみると間違ったものばかりだし
いわゆる化学や物理の教科書でゲーテが出てくるなんてことはないわけですが

ただ、ゲーテのその、あらゆる身の回りのもの、人間にかんする、そして人間をとりまく自然にかんするすべてのものにたいして興味を持たずにはいられない熱心さ、生きることの熱意というのかな
そういうものがわたしは大好きで
たしか色彩論とかも書いてて好きで読んでいました。

で、このヘーゲルというひとは、
じつはゲーテの自然科学の本を愛好していたらしくて
実験結果として導き出した法則においては、ゲーテが後世に残したものはほとんどないけれど
ゲーテの、現実にあるものへ実験と観察を繰り返してなにかを導こうとするその姿勢、プロセス、手順の中にはじつは、非常にみならうべきものがあって
ヘーゲルが強く惹かれ愛好したのもそういういわば「過程」の部分だったらしいです。

というのはこの本できいて初めて知って
どうりで自分はヘーゲルもそれなりに好きなわけか、と思いました。

あと、カントという非常に偉大なドイツ哲学者がいますが
カントにせよトマス・アクィナスにせよアリストテレスにせよ
そういう、いわゆる超偉大な人はわたしはどうも完全には愛好できなくて

ちょっとだけ時期のずれた人のほうが好きで、だからヘーゲルとかプラトンが好きなんですけど

ヘーゲルとカントの違いをわかりやすく説明してくれているのがすごいなと思いました。

もちろんこれは新書で、専門書ではないので
ドイツ哲学の専門の人から言ったら、わたしの理解は突っ込みどころが満載だとは思うんだけど笑、

カントという人は人間の認識や欲についての見方を非常にきれいにカテゴライズして説明するんですよね、端的に言って。
ヘーゲルは、基本的にはカントの見方に従いつつも、どうやらそのきれいなカテゴライズに一部疑問を持ち、そこは分けられないんじゃないの、と言ってるんですね。わたしもカントだとかトマスだとかアリストテレスだとかの、そういう綺麗にうまく説明しているところがなんだかちょっと合わないと思ってしまうんですよね(たぶんちゃんと理解できてないからかもしれないですが 笑)

たとえば、人間の性質について、
本質があって、その人の本質の表れがあって、ということを哲学者はよく考えるんだけど

哲学者によって、無数の本質の表れがあるにすぎない、だとか
あるいは、本質がちゃんとあるんだとか
それぞれ意見が違うポイントなわけですが

カントはその人間を構成する性質だとかについてもきっちり説明するんだけど

ヘーゲルはそこのところ微妙で

感覚と理性との区分の仕方も微妙で

だけど存在というもの、個性というものがあるってことはしっかり強く信じているような印象があった。どれもほんのあらわれにすぎない。だけど、あらわれなくしてはなにかを把握することなんてできやしないだろう?と言っていながらも、でもぱっと把握されるなにかがそこにはあるとちゃんと認めている。

わたしの読んだ感覚によると、ヘーゲルという人はどこまでも言葉で、理性で、説明しようとしつつも、最後のところ、感覚による直観を信じてるんだなぁって思いました。

その言葉と直観・感覚の絶妙なバランスが、わたしの持っているものと非常に共鳴するから、ヘーゲルは好きだなぁと思った。

アウフヘーベンはもちろんずっと好きです

なんとなく、ヘーゲルは歴史哲学の人と思われていて
歴史っていうと過去をみる学問ですが

ヘーゲルという人は、今を肯定しつづけた人なんじゃないかって思う

アウフヘーベンっていうのはこう、よりよいものに、一段階上に昇華する感じのイメージがあり
それは、今をよりよい今にするわけで
ヘーゲルは(大雑把な理解では)ヨーロッパ中心的な歴史を説明していることになっている気がするけど(だから現在ではあんまりよく思われなかったりもするけど)、それもヘーゲル自身が生きていた時代を肯定していくためにそれが必要だったというか

まぁ、肯定ばっかりじゃやっていけないのもわかるんだけど
わたし自身の生き方、人間性としては、元気な時にはかなり、ゲーテに近いような、こう、人間というものそのものに興味があるし、あらゆるものに、不思議だな知りたいなと思う、っていう感じだから
そして、過去が大切、過去が今をつくるというのもわかるんだけど、それでも、いつも今が一番好きって思いたいっていうタイプだから

ヘーゲルのような人、すくなくともこの本を読んで感じたヘーゲルのあり方というものには、元気をもらいました。

それも年齢によるのかな、年齢を重ねたら過去をなつかしむのかもしれない
それも少しはわかる
だけどわたしは今がすき、と
いつでも思っている。

この新書、ビジネス向けに書かれているらしい 笑 はたしてみんなは、この本を読んでどう受け取るんだろうって少し気になりました

どっちつかず、グレーゾーンで考え抜くというか、個別例とじっと向き合うというのは大切、じっと向き合うことで拓ける世界はきっとある。
まぁ実際のすごく忙しいビジネスマンの人はこんなふうにいろいろ考えていられないような気がしますが 笑


アウフヘーベンをいちご大福で説明していたのがおもしろかった
いや、教科書ではそう説明されたりするって書いてあったけどそうなのか?笑
正しくは、いちごと大福をたしていちご大福にすることじゃなくて、大福そのもののままでよりおいしいのをつくるのがアウフヘーベンなんだよって
その説明がかわいかった

いや、なんでそもそも大福なんだよって思った 笑

何にせよ、こう、よりよくなりたいとか、こうなりたいとか、こうしようとか、
今を大切にしつつ、よりこうありたい今を実現していきたいというのがたぶん、自分の生き方で、ただし元気なときだけですけど 笑 ヘーゲルにせよゲーテにせよ、自分の感性に合う人の言葉というのは、ときに力になるし癒しになるなって思います。


みんなにも素敵な日になりますように(*´▽`*)



*りんご






# by 39-unepomme | 2022-02-11 09:59 | 素敵な本や歌♪ | Comments(2)

『奔流の海』『葛藤』『正欲』

・『奔流の海』伊岡瞬
伊岡さんの小説は人物描写がリアルだし本当に好きです。ファンです。どの作品も凄く好き。紹介が難しい。うん

いっときは繁盛した旅館だったのが、お母さんがもう元気をなくしてしまっていて娘と二人、おおきな家で暮らす家族がいてそこに珍しく、地質調査だとかの学生のまぁまぁ若い男子がどうしてもといって、親戚だかのつてで泊めてもらいにやってくる、というのが主な話の1つでもあり

若い男の子だった、といって少しやる気を出す娘とお母さんというのが微笑ましくもあり
このわけありの男の子の影のある感じとか、ふわふわどこかいっちゃいそうな感じはすごく共感するし好きでした 笑
好きなのが天体観測というのもいい。
そして登場する食えない若い男パート2も、好きだったな。 この二人とも、親がろくでもなくて、けっきょく親は事故でなくなってしまって、すごいお金持ちのおうちに引き取られて、そのうちの一人は、べつの、子どもがほしいけれどできない、というおうちに引き取られて、一人は、そのお金持ちの人の養子になる、という、じつはある意味兄弟?なんですけど
やっぱりどこか家族に問題のある、影のある感じです。
施設の子供を何人も過去に引き取っているお金持ちの人、の正体とか、自分の親の死の真相とか、そういうのが一応ミステリーの主なポイントになるのかな。良い人ばかりではないけど、救いがある世界だと感じた。

伊岡さんの小説は光があるなっていつも思います。それも、かなりの程度闇を描きまくった上での光というか、決してただ明るい話ではないからこそ、すごく、生きる力をくれる物語になっている。
人間を信じている人が書いている小説だなと思う。
この人の見る世界のように、現実世界もそうであればいいなと思う、願う、祈る、祈りたいなって思う。

いつも素敵な小説をありがとうございます。

・『葛藤』文縞絵斗
お参りに来て人の多いとき、ベビーカーにのせていたわが子が一瞬目を離したすきに誘拐されてしまい、それ以来ずっと生きてる、どこかで大人になっていると信じる母親と、そもそも父親になったということをなかなか実感できない仕事人間(教師)の夫の話

子供がほしくて長らくできなくて高齢出産したこともあって母親のほうはかなり悲しんでいて、犬を飼って大切にしていたけれど、ある日公園で少女と出会って、ふつう人になつかない犬がなぜかこの少女にはよくなつくので、
度々少女と交流しながら、自分の娘が育っていたらこのくらいの年齢だろうかと思いを馳せたりする話
だけどこの少女の素性は一体?という所と
この父親(夫)の心情がポイントかな

わたしは子供を産んだことがないからわからないけれど
子供を産む時点で女性なら母親の自覚がでてくるのかな やっぱり妊娠している間も身体にも感じるものがあると思うから、その点は夫とは違うんじゃないかなとは思いますが
夫の側がすぐに子供を受け入れられないというのはままありそうな気がする。

全体にとても読みやすく、面白くて一気読みするミステリーです。


・『正欲』朝井リョウ
これもすごくすき
これは最初の数ページでバイブルかと思いました。笑

うーん、今は少し元気ですけど(こうして文章を書けているし)、たまに闇に入ると本当に生きてる意味がわからなくなる、無になり消えたくなる
そういう感情に至る人の気持ちをとてもすらすら代弁してくれていて素晴らしいなと思いました。

あと、世間一般やみんながすごく異質に見える感覚とか、自分のほうが地球にうっかりまちがって漂流してきてしまった異物であるような感覚だとか

うん、そんなこと傲慢でしょ、毎日生きてるんだし寝て起きて食べてってできていて、ほんとうに恵まれていて、だから、そういうことで悩むのは、ぜいたくな厨二病みたいなもので、生きる意味とか理由とかそういうこと言って何いってんのあんた、って言われるのはわかっているんだけど
そういうの云々というか、でもやっぱりほら人間の存在というのはつきつめるとものすごく軽くて無意味、空虚だから。
だからつらい、きつい、なにかが、誰かが、いなくならないよって手を引っ張ってくれない限りいまにも消えそうになることがある。定期的にそうなる。定期的か不定期か。あぁ出られないんじゃないかって思うような闇がある。それを知ったら知らなかったことにはできない。

人間の根本、生きてる意味をたどると、幸せになるためとか、成長するためとか
よく、哲学者だとかが生きる意味や理由を言っていて、それはぜんぶもっともではあるけれど


でも、根本は「欲」なんだろうと、この小説を読んで思った。
欲があってそれが生きるエネルギーになるというのが人間の性質のホントのところの1つじゃないかな。
もちろんそれだけじゃないとは思うけれど。

まだ、あれがしたい、これがしたい、この人と会いたい、また会いたい、だから死なない。
明日もまだ死にたくない、そういうふうに自然と思えることが
この世界で生きる人の当たり前で、それが自然にできない場合、苦しくてどうしようもない

〇〇したい、ってのはつまりは欲求、欲
欲がありすぎたらつらいけど
闇に落ちているというのは、つまり、すべてがどうでもいいわけで、何も欲さないわけで
何かを欲することができない、というのは人間には危険なことなんだなぁと思う

欲の中でどれが強いかっていうのは個人差があると思うけれど、性欲というのはやっぱり大きな1つであり
とくに男性にとってはそうなんだろうなっておもう、そこは不思議でもある、女性もそうじゃないかと思うけど、身体の性質上、男性の方がさらに、って感じがする。どうしてそうなんだろう?出産は女性しかできないのに。
そういう欲がたとえばいろんな犯罪だとかにもつながるのはいつも不思議だなと思う。歴史を見ていても思う。娼婦の扱われ方の歴史だとか、そういう仕事をする女性の歴史だとか。

性癖というのはいろいろあって、それは広い意味の趣向というところで、個性でもあり
人に言えるもの言えないもの色々あり、犯罪とかにならなければ何でもよいとわたしは思ってしまうけれど
犯罪というのもまたそう簡単に言えるものでもなくて、その言葉で分かった気に、解決した気になってしまう問題もじつはたくさんある、というのも薄々わかる。
だから、どうしたらいいのかって言われると、わからない。どうしたらいいんだろうな?
1個1個、ぶちあたるたびに一緒に考えるしかないのかな。個別例。具体例。けっきょく、一般的に通用させられるテーゼなどないと。

常識とか世間とかそういうのも
うん、わたしはたぶんすべてに関して、あまりにも寛容であまりにも適当で、ほとんどを受け入れがちだし、ほとんどの人について、その人の立場になって考えよう、共感しようとしてしまうタイプで、共感覚?が強いほうではあると思う、エンパスほどではないけどそれに近い方だと思う
だから、この小説を読んでも、さもありなん、というか、よくわかる世界だしすごく、その通りだと感じたけど
帯の紹介文とかに、この本を読んだら、世界観がいっきにかわった、驚くべき読書体験、と書かれていた。何がどう変わるんだ?と思ったけど、そこが自分と世間のズレかな?って思った。みんなの見え方はつまりこれじゃないってことかぁって。

わかりあえる人とゆっくり言葉を交わしていれば大丈夫、と
世間や社会に理解されたくないと引き籠ってもべつに大丈夫、あるいは、現実にはそれなりに頑張るけれどつねに、そうしたい気持ちは定期的、不定期的にめぐってくるとしても大丈夫と思わせてくれる小説で
これが本屋大賞の候補って、なんていうか、いわゆる多様性を受け入れる社会へという流れの影響かななんて斜めな見方をしてしまいます 笑

多様性を受け入れようだとかもかなり、その言葉では実際は何も言っていないのと同じだと思うこともある
あと、受け入れてほしいとみんなが思っているわけじゃないのもその通り。

これはでも、本当、今の時代にあっている小説のような気はします。映画化されたりするかもしれない。絵が浮かぶ小説だし。

わたしはいなくならないからね、僕はいなくならないと伝えてください
そう伝え合うふたり、彼らを結ぶ、何と呼べばいいかわからない絆が、ほんとに好き。わたしの求めるのもそういう関係。それはその絆の根底が欲、ううん、そのひとの、存在の根本だからだなぁ、たぶん。そのくらい、存在をかけてむすぶ関係が好き。命とも言えるけど、「存在」というのがしっくりくる。

不思議ですごい小説だった。




# by 39-unepomme | 2022-02-11 09:25 | 素敵な本や歌♪ | Comments(0)

『ミス・サンシャイン』『ミーツ・ザ・ワールド』『月の光の届く距離』

本を読んでいるので記録したいと思いながらはや数日、数週間?
最近はSixTonesに癒されています 3人推しは確定
だいたい推すグループの半分くらい推すのがわたしなので相変わらず。
もちろん他メンバーも素敵だけど
まだあんまり知らないのが現状 笑。
何がいいって曲がよくてPVがよい。

SixTonesがラジオやってて
京本くんと髙地くんがタンを1本買いしてどうやっておいしく料理するかのトークを前回したと言ってて、やっぱこの二人好きだわと思いました。タンの部位による調理方法を熱く語るのが楽しすぎる。あと料理って大事。
一番推しは田中樹さん、いろんな意味でこういう人タイプだなーというのを体現してる 笑
ラップとかえぐい 好き
京本くんもマイペースっぽいのが好きなのと歌声が声ふぇち殺しすぎて無理 好き
髙地くんは優しさのかたまりのような人柄と明るい調子が好き
ほかの三人はまだあんまり知らないのでラジオへの出演を楽しみにしています

読んだ本の話
映画に救われた男の子(いったん社会に出た後、映画研究系の大学院に入り直した子)が、いにしえの女優さんの倉庫の整理係という仕事を、教授のつてで手伝うお話。

映画に救われたというところがこの前の『よりみちエール』とまったく似たような感じで、やっぱり、ふいにフィクション世界に救われることってあると思う。

このお話の場合には、主人公の男の子は、いったん社会に出て会社に行っていたのがある日足が向かなくなってしまった、どうしてもいけなくなってしまった。
空っぽの気分で古い映画を上映していた映画館でみた作品に、なぜか涙が止まらなくなった

みたいな感じです。

つてで手伝う、出会ういにしえの女優さんは、いにしえと言うからにはいわば、80代とかの設定だけど、すごく美しくて、とうぜん若く見える素敵な女性で
この人の傍にはお手伝いさんみたいなおなじく年配女性(女優をめざしたけど自分は才能がないとあきらめた)もいて
その二人の毒舌をはさんだテンポのよい会話だとか、
もちろん主人公の男の子と、この女優さんとの会話ややりとり、
それから、この女優さんが昔とっても仲良くしていた女友達、ほんとうは彼女こそ女優になるべきだった魅力的な女友達がいるんだけど
そのひとについての回想シーンだとか

どれをとってもとても素敵で
読んでからしばらく経っていてもこう、ありありと場面が浮かんでくるので
吉田修一さんの小説はやっぱりすごいなと思います。実写映画化してほしいな。

わたしは寂しがりだからできれば死ぬときは誰かの傍にいたいと思ってしまうけれど
そんなことはさておき、こんな日々があることは本当に美しくて幸せで、人と関わること、人に惹かれるというのは素敵なことだと心から思える小説です。

・『ミーツ・ザ・ワールド』金原ひとみ
キャバ嬢と泥酔した腐女子が道端で出会ってふいにルームシェアするお話。
舞台はもちろん(?)新宿。ホストとか、アルコールと煙草と薬とセックスで生きてる女性の小説家とかが仲間として出てくる。
どの登場人物にも凄く共感できる(と言っていいのか 笑)、わたしはすごく好きな作品だったな。

まずキャバ嬢の子はすごく綺麗だけど、自分は死ぬの、それが自然なの、私はギフテッドだからべつに悲しくもつらくもない。と言っている、存在が儚げな感じで、腐女子の子が、お肉の部位の擬人化したコンテンツ(笑)についてのヲタトークを繰り広げながら、死ぬのはだめです!いやです!みたいに止めようとしてるのがだいたいの話の流れなんだけど

たまにすごく死にたい消えたいという時、そこから出られない、それが自然だ、というのは少しわかる そう言って救われる気持ちになる。この子の場合、救われたいわけじゃないだろうけれど
存在が儚げでいつでもとんでいきそうなのは、なぜか常々そう言われるからわかる
腐女子のヲタクには共感するのはそのままなので説明はなしとして 笑
ホストの子は、たくさん愛されていてもふいに道端を歩いていた女性の小説家の子に、お金払ってハグしてもらってさみしさが癒されるとか、そもそもそのホストの子は一応結婚しているんだけど(形上だけで、奥さんは何というか彼をナンバーワンホストにし続けるくらいにお金持ちでそれをし続けるのが生き甲斐みたいな)
たくさん愛されていても空虚で、それはもちろん自分に問題があるとは思うけれど、たぶん人間にはどこまでいっても癒せない寂しさがあって、そういうどうしようもない淋しさをよく表しているなぁーと思ってこのホストの伽羅は、まぁ賛否両論あるだろうけどかなり共感した。

小説家の女性もかなりひどい感じで酒やたばこやセックスにだけ生きてる意味、喜びを見いだしている人で夫と子どもはいたけどうまくいかないって感じだけど
フィクション世界は全部好きよ、と言っていて腐女子の子の話を聞いたりしていて
それで人がたくさん死ぬような暗い小説を書いたりしてるんだけど
これは金原ひとみ本人かな?ってちょっと思った 笑 なんとなく綺麗で憂いのある小説家のイメージがあった
わたしも時にこういう状態になるし突き詰めるとそうだと思うからこの小説家のキャラクターもかなり共感した

きっと世の中の常識からしたらこう、共感したと一言で言っていいのかわからないキャラクターたちなのかもしれないけど、全般的に共感する人ばっかりだなぁって、そして居心地のよい空間。
まぁ新宿あたりの人々と自分は現実ではまず交わらない世界なのですが 笑、でも精神性はわかる。
なんでも共感するのがわたしのいい所でもあり悪い所でもあるんだけど 笑
こんなふうに男女こみで仲良く複数人で話すとかまずなかなかないし 
とくに女子多めというのが苦手
でも、だからこそフィクション世界でそれが体験できるのは楽しいなって思います。

キャラクターたちがこんな感じだから、まぁ、金原さんの小説はどれもそんな感じかもだけど
そう明るい話なわけではないですけど
でも暗いとは感じない
すごく救われる物語だなと思います。
人と関わるのもいいことだって思えます。おいしいものを食べて、好きなものを好きと言って、話したい人と話して生きることは幸せだと思います。できれば、生きていてほしい人が生きていて、傍に居てほしい人がずっと傍にいてくれたら、それはもう、めちゃくちゃ幸せなことだとおもいます


・『月の光の届く距離』宇佐美まこと
女子高生の子が予期しない妊娠をして、付き合っていた男の子は、自分はちゃんと大学に行きたいからおろせ、というんだけど、自分はせっかく宿った命だから、この子を育てたい、と思う。でも親にも勘当同然のようなことをされてしまい行き場がなく、ネカフェや新宿あたりの夜をさまよう、そういう仕事をしようよと出会った女の子に誘われたりして、面接で嫌なものを見てしまって、もういいやってビルの屋上から身投げしようとするんだけど、後ろから小さな女の子に声をかけられて――

という話。

これは本当に、1冊あたりの満足感がすごい。こんなにも人は成長するんだ、と思う。この高校生の子だけじゃなくて、登場人物たちがみんな、家庭や家族に少し問題を抱えていたりする。大切な人をすごく傷つけたり悲しませたりもする。親が理解してくれないから、親とは違う道を選ぶんだ、って頑張ろうとしたりする。でもやっぱり、親子だからつながっているものがあったりもする。

家族のつながり、人と人とのつながりについて、親との関係について、子どもを育てるということについて、悩んだり苦しんだりしている人にぜひ読んでほしい。
本当に苦しいとき、助けを求めること。信じたい人を信じること。
それでも人間はきっと、裏切るしいなくなるし、つらいことはいっぱいあるけど、だけど、やっぱりまた助けられるのも、人と人とのつながりだから。

素敵な小説に出会えて幸せだと思いました。











# by 39-unepomme | 2022-02-11 08:16 | 素敵な本や歌♪ | Comments(2)

よりみちエール★

わたしが最近出会った素敵な漫画について。

「よりみちエール」

よりみちエール(2) (ヤングマガジンコミックス)

登場人物のひとりが、よりみちさんとゆって、もと映画監督なんだけど、あるきっかけで、しばらく映画を撮る仕事から遠ざかっています。


そして、映画を撮ったときに起こった、ある出来事がトラウマみたいになってて、自分ではそれを、自分がおかした罪なんだと思っているから、もう映画は撮らないわけです。

この監督の映画を、超落ち込んでいる時に見て、光をもらったのが若く見える男のほう。アランくん。彼は役者のたまごです。



アランくんは、よりみちさんの映画を見て以来尊敬して全部見てるわけだけど、ひょんなことから二人が出会います。

よりみちさんは、もともとビールだいすき、それもクラフトビールとかこだわりのビールを提供してくれるお店にふらっと寄り道して帰るのがなによりの趣味で癒し。



アランくんは、憧れのよりみちさんと出会えたことで、ビールは苦いとしか思っていなかったのに、僕もビール好きです!寄り道ご一緒させてください!!!とか言う感じでお願いするわけです 笑 かわいいなぁ……愛だな 笑



この漫画は、じっさいにビアジャーナリスト協会の藤原ヒロユキさんが監修されていて、「ヒロユキエール」と題して、ビールについての豆知識と、実際においしいビールを飲めるお店を紹介するコラムがはさまれているんです。なんて贅沢な!!


ビールと一口に言っても、かなり個性があるところが面白い。あと、世界史が自分のライフワークでもあるところからすると、ビールというのは、世界史にとってかなり重要というか。

だって中世ヨーロッパでは、小麦大麦とかそういうものが農民の重要な食糧だった、そしてビールもどろどろの状態で、食糧の一部として、あるいは生水がまだ浄水がちゃんとしていないから、そのかわりにビールを飲んだ方が安全だったし、みんな、ビールをそれこそ、命の水として飲んでいたんです。

近世とか、産業革命になると、イギリスにはジンとか、安価でアルコール度数が高いお酒が労働者階級に広まって、過度に依存して問題になるけど、そのときにジン横丁が酒でへべれけになってる、暗い絵柄で描かれるのにたいして、

ビール横丁の絵は、すごく幸福そうに描かれているんです。

ビールって黄金色だし(もちろんいろんな種類があるから一概にはいえないけど)、ビールというのは酒の歴史のなかで長らく、幸福の象徴みたいなイメージなんです。なんだか素敵ですよね

ビールの歴史をさかのぼると、ワインとおんなじように、古代文明、メソポタミアだとかまでさかのぼって、古代ギリシアとローマ世界、うーん、そうだな、そのへんではどっちかといえばワイン贔屓で、まぁブドウが栽培できる地域かどうかってことが関係してるんだけど、

でも、たとえば古代エジプトでは、ワインは神々に供されたり、ファラオのお墓にワインを入れる壺であるアンフォラがいっしょに入れられたり、貴族階級のみの飲み物だったのに対して、

ビールというのは、庶民が親しむ飲み物だった(大麦とか小麦とかそういうのが庶民の食糧だったからそのおなじ原料からつくるお酒も)というのは、なんだか、ビールの親しみやすさって昔からなんだーと思ってたのしい事実ですね。

だからこそ、高度な文化文明を古代世界で誇った古代ローマ世界では、ワインが神話の神々にふさわしい酒であるのにたいして、ビールは蛮族の酒とされたり、蛮族とみなされたゲルマン人にはワインなんかやらないぞ、って貿易制限したりもしたけど

うん、けっきょくのところは受け入れられたり、中世の修道院では、ワインだけじゃなくビールもつくられていたって面白いですよね。

古代だとビールの発酵って、こう、パンを焼いてそれをタネにおこなったらしくて、だから中世の修道院でもパン焼き窯のある部屋とビール醸造の部屋っておんなじだったりするんですよね

食べ物とか、命の源、そして、庶民にもなじみ深い所がビールの魅力ですね

まぁ、ビールにもいろいろあって、下面発酵と上面発酵、ラガービールの誕生あたりもすごくおもしろい話だなと個人的には思うけど長くなるし脱線してるから割愛 笑

ラガービールが一般的になったし、なにより味が飲みやすいし、つくるときに失敗しにくい(ゆっくりと、低温で発酵させるから)として広がってからも、イギリスでは上面発酵に固執して、いまのパブにつながる文化ができあがったとこも面白いですね(割愛してない)


イギリスって、ヨーロッパの歴史をみていると、島国だからか我が道をいってるなぁって印象が強いけど、ビールの歴史からみてもそうなんですよね

失敗しやすいかもしれない、技術が必要な伝統的なビールづくりを、安定的につくれるビールづくりにかえるんじゃなくって、

それじゃあ技術ある職人を育てて職人が受けつぎゃいいんじゃんっていうのがイギリスの、なんていうかこう、一度これと決めたらそれを貫くかたくな?とかジェントルマン気質、レディファーストっつったらレディファーストだ、とか英国紳士のこう、型にはまったありかた、とも通じる気がしますね

個人的にはIPAがすごく好き、ポーターの発祥の話も面白い




肝心の、素敵な漫画の話にもどります。

この『よりみちエール』とゆう作品、その、もと映画監督と、役者の卵くんが、意気投合してはビールを飲み歩いたり、その、芝居について語ったりする作品ですが、2巻で完結です。

2巻完結で、かなり感動するし(泣きました)、買って損はないですよ(∩´∀)∩ぜひぜひ


誰もが、外から見たらすっごく才能があったり恵まれていても

(映画監督の才能があったり、俳優くんはすごくイケメンだとか、二世俳優といえば、名前は知られやすいから知名度に関して、苦労することは少ないと思います)

苦悩を抱えていて

そして、誰もが、偶然か必然か、うーん、わたしとしては、それが素敵な運命だったんだろうなって思いますが、べつの人の挫折とか、べつの人の産みだした作品とか、あるいは、意識していない行動や言動、ぽろっとこぼした言葉1つに、救われているんです。

そういうの、あると思うんです。




自分が生きていることで、もしかしたら、あるときに、だれかの光になれるかもしれない。

わたしにとっても光と思う人とか、作品がある。

それは一方通行かもしれない。

それが双方向とゆうのは、ほんとうに、ほんとうに奇跡だと思う。だんだんそう思ってきた。

それが、生きてる意味だとも思うかな。

うん、まぁ、奇跡はたまーにしか起こらないんだけど。




作者の敦森さんの原画展&カフェにお邪魔してご本人にお会いして、サインもいただく機会にめぐまれました

すごく穏やかで素敵な方でした。ほんとに、ありがとうございました♡

これからも、ふんわり人の心の癒しと光になるような漫画をたくさん描いてください

応援しています(*´▽`*)


よりみちさんと、アランくんはかわいい二人だなとおもう。

年の差も尊いですよね。

年上はがんばってかっこよくみせるし、年下も背伸びして、見合う人間になろうとする。

この二人の関係はいわゆる、古代ギリシアのプラトンが言う、徳としての愛、エロースだとおもう、

古代ギリシアにはじっさい、将来有望な芸術家を、年取った芸術家がこう、面倒見つつ恋人みたいでもあり、みたいな関係だったみたいだから、なんとなく、よりみちさんとアランくんの関係に、そーゆう美しいエロースを感じました。

そう、自分を成長させ、高める愛です。

いいな、そういうの理想ですね

えーと、プラトンにとってはようするには、この世界は洞窟にうつしだされた影で、外にほんとの世界、いわゆるイデア界があるって考えるから

まぁ、イデアに完璧にたっすることができるのは死後なんだけど、

ずーっと、エロースを持って自分を高めて、エロースで高みに憧れ続けていると

あるとき、ごくたまーに、それはたまにふる神の啓示のように、

イデアのありようが垣間見える瞬間があると考えるんですよね


なんか、そういうのわかる気がします


朱子学の朱子が『大学』でゆう、豁然貫通ですね


たまーに、

わぁ、いままでつらかった全部がつながった!!とかゆう瞬間がたぶん人生の中にたまー---にあって。


アランくんとよりみちさんが、心を通わせたとき、その瞬間の景色を二人で一緒に見たんじゃないかなって思う。


うん、わたしの解釈ですが 笑

映画も漫画も小説もドラマもアニメもなんでも

フィクション世界の持つ力ってある

わたしもそれを信じています。

それをつくっているのが、自分とおんなじ、生身の人間だから。

今あるものもだし、ずーっと昔のものも、全部。

わたしの興味があるのは人間、ただそれだけ。だからゲーテとおんなじ。

できれば愛し愛される場所に毎日帰れる人生になることを願って。

ま、愛の形はそれぞれだから。

素敵な出会いに感謝です。


✿りんご



# by 39-unepomme | 2022-01-21 15:39 | 素敵な本や歌♪ | Comments(0)